Mizuoの日記

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JAZZ WEEK TOKYO 2013~菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール~

昨年末に絶対行くと宣言していた菊地成孔ペペ・トルメント・アスカラールのLIVEに遂に本日行って来ました。@渋谷ヒカリエ内 東急シアターオーブ

 

開演前からドキドキが止まりませんでした。3ヶ月間ひたすら待ち続けたその一時がいよいよ来るわけですから。

 

シアターオーブ、初めて入ったんですが、ヒカリエのカジュアルな雰囲気と違ってこちらは割りとシックで落ち着いた雰囲気です。

10階のスカイロビーから渋谷の夜景を。

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汚い街ですがさすがに夜景は綺麗ですね

 

席に着いて、開演を今か今かと待ちます。

開演直前の、あのワクワクと緊張が一番高まる時間も好きです。

 

そして19時をすこし過ぎたところで開演。

ショールカラーのタキシードに蝶ネクタイでビシっと決めながら、片手をポケットに突っ込み髪をかきあげながら颯爽と登場する菊地さん。

「カッコぇええええええええええええええええ(*´∀`*)」

早くもノックアウト寸前に。菊地さんの容姿は全く好みではないのに何故あんなにカッコよくみえるのでしょう。不思議な大人の魅力です。

 

チェロの徳澤青弦さんが楽譜を忘れて舞台裏に戻ったりなんだりしているうちに皆それぞれ音出しを始めた…と思ったらそれは共鳴でした。

バラバラに自由に音を出してたと思ってたのにいつの間にか計算され尽くした1つの曲になっていたんです。

そして自然と『はなればなれ』に移行。

ゆったりとした曲調と美しいストリングスのハーモニーに癒されます。


Naruyoshi Kihuchi et Pepe Tormento Azucarar ...

 

 

 

その後のセットリスト、ちゃんと覚えてないんですが笑、京マチ子の夜は最高でした。生で聴きたかった曲の1つです。

テナーサックスとバンドネオンの、どうやって合わせてるのかわからないメロディのユニゾン、生で観てもよくわかりませんでした。

しかしそんな不可解さなんか吹き飛ぶぐらい素晴らしい演奏でした。

菊地さんはソプラノ・アルト・テナーの3種類のサックスを吹いてましたが、彼の真価はやっぱりテナー・サックスにありますね(もともとテナー奏者だから当たり前ですが)。

とても艶やかで伸びがよく、彼の色っぽい音色が曲の雰囲気をより濃密なものに仕上げています。

この曲本当に良いし、PVも美しいのでここに貼りたいところですがとても刺激的な映像のため(てか普通に18禁な映像だと思います)控えときます。

観たい人はyoutubeで『京マチ子の夜』で検索してみてください。

 

 

 

その後、ソプラノ歌手の林正子さん登場。

凄まじい変拍子のリズムにのせてオペラのメロディを力強く歌い上げる『行列』で度肝を抜かれました。アルバム聴いてても薄々感じていましたが、なんであんなよくわからないリズムなのに平気で、むしろ普通のオペラ並に感情込めて歌えんの!?

オペラ歌手って歌唱力だけじゃなくリズム感も凄いんだな…てか林さんが凄いのかな…

未知の領域の更なる未知の領域を見せつけられました。

そしてそれにかぶさる菊地さんの猛烈なサックスソロ。開いた口が塞がりません。

 

嵐のように『行列』が過ぎ去ったあと、突然ラッパー風の黒人さんが。

「ま、まさかとは思うけどラップ…?ラップやんの…?」

そのまさかでした。これまたポリリズムが折り重なった演奏に、絶妙なラップを被せてきます。しかもよく聴いたら日本語です。

そのまま次の林さんボーカル曲の割りと王道なオペラ曲『アリア 私が土の下に横たわる時~オペラ「ディドとエネアス」より(H.パーセル)』でもセリフとラップの中間みたいな日本語フレーズを挟んできます。

 

次の曲でもう1人黒人さんが登場して、二人とも英語に聞こえる日本語のラップをかましてます。菊地さんは英語で歌ってなんか不思議だなあ…ん?英語に聞こえる日本語ラップってもしかしてSIMI LAB…?と思ってたらアンコール後のメンバー紹介で本当にそうだったことが判明しました。観れてラッキー(・∀・)

 

 

 

ゲストが大いに盛り上げて退場した後は怒涛の展開です。

全部書いたらキリないので印象に残った3曲をピックアップします。

 

まず『嵐が丘』。昨年放映されていたアニメ『峰不二子という女』でも『新・嵐が丘』として使われていたので有名ですよね(きっと)。


LUPIN the Third 峰不二子という女 PV - YouTube

 

ここでやっと気付いたのですが、第一ヴァイオリンの吉田 翔平さんが素晴らしい。

嵐が丘の気が狂いそうなほど続く4連符(多分…)をひたすら激しく弾いていて、見ているこっちが狂いそうです。

てかこの曲のボーカル菊地さんがやってたんですね。女性かと思ってた。

 

続く『キリング・タイム』でも圧巻のソロ。長い髪を振り乱して「ああ、そんなに振り乱したらヴァイオリンの弦に巻き込まれるよ~」なんて心配なんかすぐ忘れてしまうぐらいの魂の演奏でした。


『Killing Time』菊地成孔 y Pepe Tormento Azucarar - YouTube

このLIVEも凄いけど動画じゃあの迫力は全然伝わりません。

しかしこの『キリング・タイム』めっちゃテンポ早いな

 

一方菊地さんはアルトサックスの調子が悪くなってしまったらしく音がきちんと出ません。客席に向かって「いや、やばいよこれ、音出ないわ^^」みたいな素振りを見せます。

「え、このあと結構なソロあるけど大丈夫なのかな…?」

曲が醸し出す焦燥感も相まって客席の緊張感が高まります(って思ってたの私だけか)。

そして菊地さんのソロに突入…!!普通に、メッチャカッコいいソロをやりきってくれました。

 

最後は『ルベ・ペレスの葬儀』。


菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール:ルペ・ベレスの葬儀 - YouTube

 

これはアルバム『南米のエリザベス・テイラー』にLIVE Verが入ってたので絶対やってくれるだろうと思っていました。

菊池さんのテナーの音色が一番熱く唸った曲でした。

オケ全体の熱も高まりこれ以上ないくらい情熱的なパフォーマンスに。

会場の雰囲気も最高潮の状態で演奏終了。大きな拍手に包まれ皆さん舞台袖へ。

 

ん?こういうLIVEのアンコールってどうするんだっけ?まさか頭の上で手拍子しながら「オイ!!オイ!!オイ!!」ってコールするわけにもいかないだろうし…と迷いながら周りに合わせ拍手続けてるとあまり時間をおかず菊地さん再登場。あ、拍手で良かったのね。

 

それまで一切MC無しでしたが、ここに来てようやく菊地節炸裂。

ここに書くのも憚られるようなブラックジョークで会場を爆笑の渦に。

メンバー紹介のあと、ウェイン・ショーターの雅楽みたいな曲やって公演終了。

ウェイン・ショーター全く知らないにわかなので曲名わかりません。すみません。)

 

 

終了後は完全に骨抜き状態で頭が朦朧としたまま、寄り道せずまっすぐ帰路に着きました。

 

 

 

初めて菊地さんの演奏を生で聴きましたが、普通にリードミス(音がキュって鳴るやつ)してるし小さめの音出す時空気の抜ける音が聴こえるし普通だったらものすごく不快なんですが、そんなの気にならないくらいには素晴らしい演奏でした。

音自体は良いし技巧的にも凄いし何よりも魂を感じます。

こういう、ポリリズムに更に複雑なメロディを乗せた超絶技巧な音楽って技術先行でテクニックが前面に出されがちですが、菊地さんは主題先行で自分が表現したいものをよりリスナーに伝わるようにする為に技術を駆使しています(と勝手に思っています)。これは菊地さんの他のバンドでも同じですよね(あんま聴いてないけど)。

 

音楽って上手い下手では無く、伝えたいものが、その曲の主題がどれだけ受け手に伝わるかが重要なんですよね。その他に技術が必要なら身につければいいだけで。

音楽に限ったことでなく創作物全般に言えることなんでしょうが…

 

菊地さんのことばっかり書いてますがもちろんオーケストラの皆さんも本当に凄かった。な・ん・で合わせられんねん(^O^)という突っ込みを幾度となく入れたくなる複雑怪奇なポリリズムの集合体をサラッと軽やかに、時には情熱的に、完璧に息の合った演奏で魅せてくれました。菊地さんの指揮を完全に理解してました。菊地さんが身内自慢したくなるのも当然ですね。

 

あ、あと昨年の記事でDJプレイする菊地さんはとてもセクシーだと書きましたが、サックスを吹いている菊地さんの方が当然セクシー度は上でした。テナー>アルト>ソプラノって感じですね(完全に私の好みですが)

 

と、LIVE後のテンションにまかせてバーっと書き殴りましたがとりあえず最高の夜でした。

次はお酒飲みながら聴きたいです。

菊地さんの生演奏は快感と新たな欲望を生み出します。

 

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【追記】

公演後ペペのアルバム聴き直して、「あれ?『野生の思考』にも雅楽っぽい曲あるじゃんそういえば。アンコールの曲と似てるなあ」と思ってたらそのアルバム曲『プラザ・レアル』がアンコール曲でした。これだからにわかは…

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